Austen, 平凡にして活躍せる文字を草して技神に入る

先日ボランティア先のバザーで20ペンス(今だと30円くらい?)でまっさらの『Pride and Prejudice』(高慢と偏見)を買いました。
昔の岩波少年文庫みたいな厚紙にコーティングしたカバーですが、サイズはペーパーバック位で軽くて結構です。表紙はミスタ・ダーシーの油彩肖像。奥付を見たらDaily Mailの日曜版のおまけだったらしい。こっちの全国紙の日曜版はDVD【映画やドキュメンタリー】やCD【新譜アルバムから語学手ほどき、オーディオブックス】や本といったおまけが毎回ついているんです。
それをピックアップして幾らか訊いたら所長さん、「映画は見た?BBCのドラマは?」
私「C.ファースのMr.ダーシーは10回は見ましたさ」
所長さん「やっぱりダーシーは彼よね!」

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(Bathのパンプ・ルームです)

バースで記念館も行ったし、BBCの『Pride and Prejudice』DVDも買ったし、
CLASSIC FMでやっていたフリー・オーディオブック
(『マンスフィールド・パーク』『ノーサンガー・アビー』『説得』の朗読)のipodも全部聞いたし、
はたからはJaneite(ジェーン・オースティン崇拝者。people who is "the self-consciously idolatrous enthusiasm for 'Jane' and every detail relative to her")と思われてもおかしくないのですが、
『エマ』は数ページで鼻についてやめちゃったし、お気に入りの『高慢と偏見』や『ノーサンガー・アビー』も面白がりながら、どこがどう偉いのかが今ひとつわからないので、崇拝してるとはいえません。
(それにこの国ではジェイトナイトはどうもお上品ないし上流ぶった半可通、『酢豆腐』の若旦那の野暮天版、というニュアンスがあるようなのでこっぱずかしい)
ストーリーは古典的少女漫画だし、描写はくだくだしてるし…でも、置くをあたわざるその魔力。
昔、ある役者さんが惚れた女性について言ったように、「言うに言われぬところがいい」っていうものがあるような気がします。
ヒロインが思い込みが激しくて衝動的で最初に反感を持った相手や調子がよくはない相手と結局結ばれるところがもろ昔の少女漫画なんですが、でも少女漫画というより少女、乙女というものの普遍的な属性と夢なのかもしれません。一番すごいと思うのが、敵役の意地悪女たちのリアリティ。
D.L.セイヤーズをはじめ、、C.ブロンテ、V.ウルフ、M.ウォルターズ、R.レンデル、A.クリスティ、D.D.モーリア、H.フィールディング、A.ペリーと、この国の女流作家は、愛すべき女性より、意地悪女や悪女を描かせるとうまいもんです。まあ私が出会ったせまーい範囲でも、この国のレディたちはその気になればミルクを酸っぱくさせるような毒を舌のどこかにお持ちなので、モデルはそこらじゅうに、多分作家自身の中にもいるのでしょう。
未だに、現役の作家の小説にしろコラムなどにしろ、ジェーン・オースティンの引用(B.ジョーンズはまるごとですね)やその登場人物をキャラクターの例えに使うのはざらに見られますが(あとO.ワイルドも多いな)、日本でこれだけ人口に膾炙している作家やそのキャラクターって、誰でしょう?まあ、文章を書くような人が読んでいるということが国民全体に敷衍して考えられるわけではないですが、それでもある程度普遍性があるから使ってるわけで…漱石の『坊ちゃん』や『猫』?鬼平や銭形平次?もうそういうモデルはアニメからのものに移行しちゃってるのかな。
まあ、こんな生齧りな意見を述べたら、Austen女史ならこう描くでしょう。
She was a woman of mean understanding, little information, and uncertain temper. (Pride and Prejudice) この「彼女」はミセス・ベネットです。
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by Madorena | 2009-02-16 22:02 | Madorenica
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