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小説の中のHalloween

本で読んだ、イギリスのハロウィンとガイ・フォークス・デイのエピソードで
印象的なものは2つあります。
ひとつは、『公園のメアリー・ポピンズ』の最後の章、
登場人物の影たちが公園に集まってダンスパーティを開くもの。
『とびらをあけるメアリー・ポピンズ』も確か、ガイの日の花火の火花と共に、
メアリーが空から降ってくるんでしたね。
もうひとつは、ルース・レンデル『わが眼の悪魔
これと、『ロウフィールド館の惨劇』『殺す人形』は私の三大お勧めレンデル
(ただしウェクスフォードものはあまり読んでないへなちょこレンデル読者ですが)です。
ある人間の個性、生活が日常的に積み重なって、惨劇をもたらす、
皮膚に毒草を押し当てられるような、
染み入ってくる恐怖を描かせたら右に出るものがないレンデルの真骨頂が出ています。
レンデルの恐怖は、異常な行動を異常だと認識しないユーニス・パーチマンや、
アーサー・ジョンソン、ドリーの日常を平然と描いていくことで、
読んでいる人間がうっかりそういう人物に移入し、自分の内面が正常か、揺らいでしまうところにあるような気がします。
そういう点では、シチュエーションがいかに異常でも、ミネット・ウォルターズの登場人物の方が、精神的には健康ですね。殺戮行為も、理由が明かされると、なるほど仕方なかったのか…という気になりますし。閑話休題。
日本でも、オフィスや近所に居そうな、ごみ捨てや書類の角合わせにうるさいタイプの
しみったれた中年男が、永年に亘って愛でてきた、地下室のマネキン人形。
それはさらに忌むべき秘密の蓋をするアイコンでもありました。
ある年のガイ・フォークス・デイに、その人形が火あぶりにされたことをきっかけに、次々に悲劇が起こるのです。
同じフラットに越してきたもう一人のA.ジョンソン(アントニー・ジョンソン)のロマンスと、
他の住人の不倫騒ぎに、"ケンジントンの絞殺魔"の犯罪が絡み合って起こるクライマックスは、繊細な方は夢に見そうですよ。
by Madorena | 2005-09-30 17:54 | エンタの天使
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